痛み止めを毎日飲むリスクとは?長期服用の副作用と薬以外の治療法|西郷整形外科リハビリクリニック|茨城県土浦市の西郷整形外科

専用駐車場あり

〒300-0028 茨城県土浦市おおつ野5丁目1-8

理事長ブログ BLOG

痛み止めを毎日飲むリスクとは?長期服用の副作用と薬以外の治療法

痛み止めを毎日飲むリスクとは?長期服用の副作用と薬以外の治療法

「毎日の痛み止め、このまま続けて大丈夫かな」と感じたら


膝や腰の痛みをやり過ごすため、市販の鎮痛薬を半年以上ほぼ毎日──。そんな方は決して珍しくありません。ただ、食後の胃の重さや足のむくみが気になり始めたなら、一度立ち止まるタイミングかもしれません。長期服用で注意したい身体への負担、受診を検討する目安、薬以外の選択肢を整形外科の視点から整理します。


この記事の要点まとめ


  • 痛み止めの長期服用は胃粘膜や腎臓への負担、頭痛の慢性化などにつながる場合があるとされます
  • ほぼ毎日2週間以上続く場合は、受診を検討する一つの目安と考えられます
  • 薬に頼るだけでなく、運動療法や物理療法、生活習慣の見直しなど原因へのアプローチも選択肢となります

痛み止めの長期服用が身体に及ぼす主なリスクと副作用

痛み止めの長期服用が身体に及ぼす主なリスクと副作用

一般的な痛み止めは、大きくNSAIDs(ロキソプロフェン、イブプロフェン、アスピリンなど)とアセトアミノフェンに分かれます。前者は炎症そのものを抑えるとされますが、同時に身体を守る物質にも作用するため、連用時の注意点が知られています1


胃粘膜障害・胃潰瘍など消化管への負担と胃薬併用の実態


NSAIDsはプロスタグランジンの産生を抑えることで、痛みや炎症に働きかけると考えられています。ただ、この物質は胃粘膜の血流を保つ役割も担っているため、飲みすぎや連用によって胃粘膜が荒れ、胃潰瘍につながることがあると報告されています。近ごろは胃だけでなく小腸の粘膜障害も指摘されるようになりました。高齢の方、潰瘍の既往がある方、他の薬を併用中の方は、特に慎重な服用が望まれます。 予防を目的に胃薬が処方される場合もありますが、市販薬を自己判断で足すことは避け、医師や薬剤師にご相談ください。


腎血流量の低下によるむくみ・血圧上昇と腎機能障害のリスク


プロスタグランジンは、腎臓の血流維持にも関わっているとされています。連用によって腎血流量が落ちると、水分やナトリウムが体内に溜まりやすくなり、足のむくみや血圧の上昇として表れることがあります。長く続いた場合には腎機能障害につながる可能性も指摘されており、循環器に負担がかかる場面も想定されます。「靴下の跡が消えない」「体重が急に増えた」といった変化は、身体からのサインとして受け止めましょう。


意外と知られていない「薬物乱用頭痛(MOH)」と慢性化の仕組み


頭痛薬を月に10〜15日以上使う状態が3ヶ月ほど続くと、薬そのものが頭痛を招く薬物乱用頭痛(MOH)が起こることがあると報告されています。脳の痛みを感じる仕組みが過敏になり、「効きにくく感じてまた飲む」という循環に入りやすいとされます。整形外科領域の痛みでも、同じように痛覚が過敏化していく経過はまれではありません。


長期服用を見直すための判断基準と医療機関を受診すべきサイン


そもそも「長期服用」に厳密な定義はありません。ただ、痛み止めをほぼ毎日、2週間以上続けているなら、一度診察を受ける区切りと考えてよいでしょう。 半年、1年と続いているようなら、痛みの原因そのものを見直す時期といえます1


見逃してはならない初期症状(胃部不快感・倦怠感・むくみ)


食後のみぞおちの痛み、黒っぽい便、貧血気味のだるさ、尿量の減少、まぶたや足のむくみ。このあたりは、服薬中に気づいておきたい初期のサインです。原因が運動器由来であれば整形外科が窓口になりますし、消化管や腎臓の症状が前面に出ているなら内科との連携も検討します。当院は土浦協同病院と連携しており、必要に応じて紹介を行う体制を整えています。


市販薬(OTC)と処方薬の違いおよび血液検査による定期管理


市販薬(OTC)は手軽に買える分、服用量や期間を誰も把握していない状態になりがちです。成分自体は処方薬と重なるものも多く、「市販だから負担が軽い」とは言い切れません。複数の薬で同じ成分が重複してしまう点にも注意が要ります。継続して服用するなら、肝機能・腎機能・貧血などを確認する血液検査を定期的に受けておくと、体調の変化を把握しやすくなります。


自己判断での急な断薬を避け、段階的に減薬するための手順


とはいえ、急にやめると痛みが強く跳ね返ることがあります。まずは1〜2週間、飲んだ日と量、痛みの程度を記録して受診してみてください。その記録をもとに、痛みの原因の把握、リハビリなど別の手段の併用、服用回数を少しずつ減らす——この順序で進めるのが現実的です。減らす過程は主治医と相談しながら組み立てていきます2


薬だけに頼らない痛みのコントロールと整形外科での治療選択肢

薬だけに頼らない痛みのコントロールと整形外科での治療選択肢

痛み止めは痛みを一時的に和らげることを目的とした手段であって、痛みを生んでいる関節や筋肉の状態そのものに働きかけるものではありません。だからこそ、原因へのアプローチを並行させる意味があります2


関節や筋肉の負担を軽減する運動療法とリハビリテーション


膝や腰の痛みでは、関節を支える筋力の低下や柔軟性の不足が負担を増やしているケースがあります。当クリニックでは運動器リハビリテーション施設基準Ⅰを取得し、国家資格を持つ理学療法士が患者さん一人ひとりの状態を評価したうえで、オーダーメイドの計画を立てています。平行棒やマットプラットフォームを使い、動作を確認しながら進める点が特徴です。


低周波・レーザー・超音波などの物理療法機器による血流促進


リハビリと組み合わせる形で、低周波治療器や干渉電流型低周波治療器、半導体レーザー治療器、超音波治療器、自動牽引装置なども用意しています。血流を促したり、痛みの伝わり方に働きかけたりする目的で、運動療法の前後に取り入れることがあります。どれを使うかは診察のうえで判断します。


生活習慣の見直しと一人ひとりに合わせた総合的な診療計画


立ち仕事や中腰が多い方なら、作業の高さや休憩の取り方を少し変えるだけでも負担の掛かり方が変わってきます。骨密度診断装置や超音波診断装置での評価も交えながら、痛みの背景を確認していきます。当院は「リハビリのその先にある豊かな人生」を理念に掲げ、痛みを和らげることに加えてQOL(生活の質)の向上を目指しています。院長自身、ラグビーでの怪我と手術・リハビリを経験しており、痛みの辛さや先の見えない不安に寄り添う診察を心がけています。薬との付き合い方に迷ったら、遠慮なくご相談ください。


よくある質問


Q1. 痛み止めを常用するとどうなりますか?

A. 個人差は大きいのですが、胃粘膜の障害や腎血流の低下、むくみ、血圧の上昇などが起こる場合があると報告されています。痛みを感じる仕組みが過敏になり、以前より効きにくく感じるケースもあるとされます。自己判断で続けず、経過を診てもらうことをおすすめします。


Q2. ロキソプロフェンを長期に続けても問題ありませんか?

A. NSAIDsに分類される薬剤で、必要な期間だけ使うのが基本的な考え方とされています。連日続いているようなら、胃薬の併用の要否や他の選択肢について医師と相談し、定期的な血液検査で状態を確認しておくとよいでしょう。


Q3. 痛み止めの長期服用とは、どれくらいの期間を指しますか?

A. 明確な線引きはありませんが、ほぼ毎日2週間以上続いているなら一度受診の目安と考えてよいでしょう。頭痛薬では、月10〜15日以上の使用が3ヶ月続く状態が薬物乱用頭痛の指標として挙げられています。


Q4. 市販薬と処方薬では、負担の大きさに違いがありますか?

A. 成分が重なることも多く、市販薬だから負担が軽いとは限りません。むしろ服用量や期間を医療者が把握しづらい点に注意が必要です。お薬手帳や服薬記録をお持ちのうえ受診してください。


Q5. 薬をやめると仕事が続けられるか不安です。どうすればよいですか?

A. 急にやめるのではなく、痛みの原因を把握したうえでリハビリなどを併用し、少しずつ減らしていく進め方があります。仕事内容や生活スタイルを伺いながら、無理のない計画を一緒に考えます。


参考文献


1. Minds ガイドラインライブラリ(公益財団法人 日本医療機能評価機構)https://minds.jcqhc.or.jp/

2. 日本医療研究開発機構(AMED)https://www.amed.go.jp/


西郷 峻瑛

医師


西郷整形外科リハビリクリニック 土浦院

院長

西郷 峻瑛

▶ 監修者プロフィール

経歴
獨協医科大学 卒業
岩手県立胆沢病院
岩手医科大学大学院 卒業
岩手県立二戸病院
岩手県立釜石病院
土浦協同病院
資格・所属学会
日本整形外科学会認定整形外科専門医
日本整形外科学会認定リハビリテーション医
日本整形外科学会認定スポーツ医