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大会前に「階段でもすねが痛い」と言われたら
「朝、学校の階段でもすねがズキッとする」。大会を控えた中学生からそう聞くと、練習を続けさせてよいのか迷うと思います。すねの内側の痛みはシンスプリントのことが多い一方で、疲労骨折との区別も気になるところです。どの場面で痛むかを親子で確かめることが、練習を調整する最初の手がかりになります。
この記事の要点まとめ
- すねの内側の痛みは練習量などが関わり、症状だけで原因を判断できません。
- 階段や歩行でも痛む、一点に強い痛みがある場合は練習を休み、整形外科へ相談します。
- 痛みと練習内容を記録し、翌日の状態を確かめながら段階的な復帰を考えます。
中学生・高校生のすねの内側が痛むのはなぜ?
走る量が短い期間に増え、骨や筋肉の修復が追いつかなくなると、すねの内側に痛みが出やすいと考えられています。原因は一つではなく、練習内容と身体の特徴が重なって起こることが多いです。
シンスプリントは、走る動作を繰り返す中で生じるすねの痛み
シンスプリント(医学的には「脛骨内側ストレス症候群」とも呼ばれます)は、すねの骨の後ろ内側の縁に沿って広がる痛みが特徴です1。走っている最中より、練習後や翌朝に気づく子もいます。
ただ、似た痛み方をする病気もあります。症状だけで「シンスプリントだ」と決めることはできません。
大会前に走る距離や回数が増えたときの負担
大会前は距離・本数・スピード練習が一度に増えがちです。過去の痛みや競技歴も含め、痛みの原因は一人ひとり異なるため、気になる場合は医師にご相談ください。親子で次の点を振り返ってみてください。
- 1週間の走る距離や本数がどう変わったか
- 休養日が減っていないか
- ダッシュや坂道など、速い走りの回数が増えていないか
成長期の身体と、足の形・動かし方を併せて考える
中学生・高校生は、身体が大きく変わる時期と練習量が増える時期が重なりやすい年代です。下肢の骨の並び、関節の動く範囲、筋力、走り方の互いの関わりが、シンスプリントの発症要因として検討されています2。
どの要因がどれだけ影響するかには個人差があります。「成長期だから」とひとくくりにせず、その子の身体と練習を一緒に見ることが出発点です。
靴や練習場所だけを原因と決めつけない
硬い地面での練習や、かかとがすり減ったシューズも確認しておきたい点です。とはいえ、靴を替えただけで練習量はそのまま、では負担の元が残るかもしれません。足部アライメント(足の骨の並び)や動作の特徴も絡むためです23。練習の記録と痛みの経過を並べて見ると、手がかりが見えやすくなります。
練習後だけの痛みか、階段でも痛むかで対応を変える

痛みが走った後だけなのか、日常の動作でも出るのかで、考えたい対応は変わります。次の表は判断の目安で、診断ではありません。
| 痛む場面 | 考えたい対応 |
|---|---|
| 練習後や翌朝に痛む | 痛みの出る練習を控え、経過を記録する |
| 階段・歩行でも痛む | 走る練習を休み、整形外科で相談する |
| 一点を押すと強く痛む、安静時も痛む | 疲労骨折も視野に入れ、早めに受診する |
表に当てはまらない痛み方もあります。迷ったときは、より慎重な側の対応を選ぶことを検討してください。
走った後に痛むなら、練習量と翌日の変化を記録する
練習後に痛む段階でも、痛みを我慢して同じメニューを続けるのは控えたいところです。練習中・直後・翌朝の痛みを簡単にメモし、顧問の先生にも状況を伝えておくと、メニューを相談しやすくなります。
階段や歩行でも痛むなら、走る練習を休んで整形外科へ
登校時の階段や普通に歩くだけで痛むなら、負担が日常生活にまで及んでいるサインと考えられます。「歩けるから大丈夫」と重さを判断せず、走る練習は休んで診察を検討してください。軽いジョギングに切り替えて様子を見続けるより、一度原因を確かめた方が予定も立てやすくなります。
一点を押すと強く痛む場合は疲労骨折も考える
シンスプリントは広い範囲に痛みが出やすいのに対し1、骨の一部分に指先で示せるほど限られた強い痛みがある場合は、疲労骨折も考えます。ただし、触っただけで両者を見分けることはできません。痛みが続く、だんだん強くなる、じっとしていても痛むときは整形外科へ相談しましょう。
「温まれば走れる」は練習継続の判断材料にしない
走り始めの痛みが途中で和らいでも、痛みの経過には個人差があります。この「走れた」という感覚だけで大会出場を決めるのは注意が必要です。
ポイント
練習後や翌日、階段での痛みがどう変わったかを確かめてから、練習を続けるか判断しましょう。
診察で原因を確かめ、競技への復帰を段階的に考える
受診では、痛みの原因を確かめることに加えて、なぜその痛みが出たのかを練習内容や身体の使い方から探ります。復帰は、日常で痛まない状態と走れる状態を分けて考えます。
部活と受診を調整する前に、症状を記録する
部活と保護者の勤務の都合を合わせるのは大変ですが、事前に次のことを整理しておくと、限られた診察時間でも状況が伝わりやすくなります。受診できる日時は、医院のページなどで確認してください。
- 痛み始めた時期と、その頃の練習量の変化
- 痛む場所(広い範囲か、一点か)
- 階段や歩行で痛むか、休むと変わるか
整形外科では痛む場所と動きを診て、必要な検査を検討する
診察は問診と、押して痛む場所や足の形・動きの確認が中心です21。疲労骨折などが疑われる場合は、医師がレントゲンなどの画像検査の必要性を判断します。初期の疲労骨折はレントゲンに写りにくいことがあり、日を改めた再検査や別の検査を検討することもあります。
休養日と練習内容を見直し、痛みを増やさない運動から始める
走る量を減らすだけでなく、休養日を確保することも見直したい点です。股関節や足首の柔軟性、筋力のバランスに関わる運動は、痛みを増やさない範囲で医療者と相談しながら進めます23。運動後や翌日に痛みが増すなら、負荷が合っていない合図です。
歩けるようになった後も、走る練習への戻し方を確認する
日常生活で痛まなくなっても、すぐに元の練習量で走れるとは限りません。私自身、ラグビーのけがの後に復帰を急いで焦った経験があり、その気持ちはよくわかるつもりです。
当院に限らず、痛みが取れた状態と競技に戻れる状態を分けて考え、練習状況や身体の使い方も踏まえて医師や理学療法士に復帰を相談することが大切です。ジョギングから始め、翌日の痛みを確かめながら距離やスピードを段階的に戻すのが基本的な考え方です。
ポイント
復帰の目安は大会の日付ではなく、走った後と翌日の痛みの変化で考えましょう。
よくある質問
Q. シンスプリントのとき、ウォーキングはしてもよいですか?
A. 歩いても痛まない場合は、日常の歩行まで控える必要はないことが多いです。ただし、歩くだけで痛む、痛みが増していく場合は、運動として歩く量を増やす前に整形外科で相談してください。
Q. 練習はどのくらい休めばよいですか?
A. 痛みの程度や原因によって異なるため、一律の期間は示せません。疲労骨折が疑われるかどうかでも考え方が変わるため、医師が診察のうえで判断します。
Q. シューズやインソールを替えれば練習を続けられますか?
A. 足の形や靴の状態は確認したい点ですが、それだけで痛みの原因がすべて説明できるとは限りません。練習量や走り方も併せて見直すことをおすすめします。
Q. すねだけでなく腰も痛いと言っています。中学生の腰痛の原因は?
A. 成長期の腰痛には、筋肉の疲労のほか、腰の骨の疲労骨折が隠れている場合もあります。運動時に腰を反らすと痛む、痛みが続くといったときは、すねとは別に整形外科で相談してください。
Q. 受診や検査の費用はどのくらいかかりますか?
A. 健康保険が使えるか、どの検査を行うかによって異なり、実際の費用は医療機関により異なります。当院の費用は診察のうえでご案内しますので、医院にご確認ください。
参考文献
1. Reinking MF, Austin TM, Richter RR, et al. Medial Tibial Stress Syndrome in Active Individuals: A Systematic Review and Meta-analysis of Risk Factors. Sports health. 2017. PMID: 27729482 / DOI: 10.1177/1941738116673299
2. Lee I, Jeon HG, Ha S, et al. How Medial Tibial Stress Syndrome Is Affected by Alignment, Range of Motion, Strength, and Gait Biomechanics: A Systematic Review and Meta-Analysis. Journal of sport rehabilitation. 2025. PMID: 39577407 / DOI: 10.1123/jsr.2024-0031
3. Hamstra-Wright KL, Bliven KC, Bay C. Risk factors for medial tibial stress syndrome in physically active individuals such as runners and military personnel: a systematic review and meta-analysis. British journal of sports medicine. 2015. PMID: 25185588 / DOI: 10.1136/bjsports-2014-093462
岩手県立胆沢病院
岩手医科大学大学院 卒業
岩手県立二戸病院
岩手県立釜石病院
土浦協同病院
日本整形外科学会認定リハビリテーション医
日本整形外科学会認定スポーツ医
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